慢性期病院で働く看護師
医療には、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」という4つの段階があります。これらの中で病床数不足が問題視されているのが回復期から慢性期です。では、慢性期病院の医療とはどのようなものなのでしょうか。そして、そこで働く看護師にとって大切なことは何でしょうか。
慢性期に入院する施設はどこ?
慢性期に入院する施設として「療養型病院」というものがあります。療養型病院は「医療療養」と「介護療養」の2つに分けられており、医療療養には医療措置が必要な患者さんが入院し、介護療養には要介護認定を受けた患者さんが入院していました。しかし、入院患者さんの増加と共に看護師が不足するようになり、介護療養は廃止されました。
医療療養病床に入院するのは慢性疾患で長期に渡る療養を必要としている患者さんや急性期治療を終えた後にも日常的に医療措置を必要とする人で、精神病、感染症、結核の病床は除外されています。
厚生労働省では、日常生活動作の自立度を3段階に区分しています。区分3は24時間持続点滴や中心静脈栄養が必要もしくは人工呼吸器を着している患者さん、区分2は経菅栄養や気管切開などが必要もしくは神経難病や肺炎患者さん、区分1は区分2と3に該当しない患者さんや老人保健施設や介護施設に入所している人です。
慢性期の病床が足りないという現状
食生活の欧米化が進む今の日本は、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの慢性疾患によって思い病気にかかるリスクが上昇しています。さらに、高齢者の数が増え、回復期から慢性期の病床数の不足が目立つようになりました。このことから、医療を病院で完結するのではなく地域全体で支えて行こうという「地域完結型」の医療への転換を国は推し進めています。
看護師の役割
慢性期の看護は、ゆっくりと症状が進行していく患者さんのターミナルケアです。患者さんの多くは脳卒中ですが、これに加えて糖尿病や腎不全、心疾患、肝硬変、呼吸器疾患、がんなどの疾患を併発していることも少なくありません。看護師は患者さんの様子や全身状態をよく観察し、症状の変化にできるだけ早く気付くことを求められています。なぜなら、症状悪化の兆しを早期に発見できれば合併症などを予防するなど適切なケアができるからです。
慢性期病院に向いているタイプ
慢性期病院の仕事は、1日の業務が流れとして決まっている場合がほとんどです。急性期や回復期の医療施設よりも時間が読みやすいため、急な残業などもなく家庭との両立がしやすいでしょう。ナースコールが鳴りっぱなしのような環境とは異なり、患者さん一人ひとりに丁寧に寄り添った看護ができます。患者さんとじっくり向き合った看護がしたい人に向いているでしょう。